ネットでマザーボードについて調べていて、面白い表現がありました。
音質の良いマザーボードは「高い」
オーバークロックしやすいマザーボードは「高い」
USB 3.1ポートの転送速度が速いマザボは「高い」
NVIDIAのSLIに対応したマザーボードは「高い」
LANにIntelやKiller製を使ったマザボは「高い」
そして今回、もう一つの教訓を得ました。
Mini-ITX のマザーボードは「高い」
前々回の記事で書いた、
ベンチ台のサイズを間違えて、Mini ITX 専用台を
注文してしまったのが始まりです。
前回の、SFX 電源ユニットと
今回の、Mini-ITX マザーボードの値段が半端なく高い。
そして、選択の種類が、非常に少ないのです。
ただ、後悔してるかと言えば、そうではなく、
逆に、「災い転じて福となす」的な、
賢い選択をしたと思っています。
一台のパソコンで全ての作業をさせることが、当然だった時代と違い、
今では、複数のパソコンで作業を分散でき、
しかも、ネットワークにNAS を置けば、
データーの管理も、各々のパソコンでする必要はなく、
各パソコンの負荷も軽減でき、大きなケースも必要がなくなりました。
つまり、小さなマザーボードは、
小さなケースに収めることが出来、
複数のパソコンを使う上で、大きなメリットになります。
今回購入した、マザーボードは
ASRock X570 Phantom Gaming-ITX/TB3
非常にコンパクトで、美しいレイアウトの基盤を有した、
高性能なマザーボードです。
しかし、あまりにも小さくて、パーツの取付が難しそうです。
特に、CPU クラーは注意しないと、
サイズ的に何か、やらかしそうな予感がします。
マザーボードについて
マザーボードは、PCパーツと周辺機器を一つにつないで、
システムとして機能させる、最も重要なパーツです。
文字通り、母なる大地のような存在です。
マザーボードを選ぶ上で、価格の次に重要なファクターを見ていきましょう。
チップセット
チップセットは、CPUとその他のパーツとの信号を制御する部品です。
CPU は高速に作動するので、
処理速度の遅い、ストレージやDVD ドライブ、と
高速の処理を要求する、メモリや、グラフィックボードの
データ信号を適切に制御する必要があります。
昔は、ノースブリッジとサウスブリッジの2つのチップが、
マザーボードに設置されていましたが、
今では、ノースブリッジが、CPUと統合されたので、
サウスブリッジがマザーボードに付いています。
チップセットは、CPU やディバイスの構造変更や、規格の
バージョンアップなどにより、新しいチップセットが開発されます。
一般的に、下位互換性を保っていますが、
バイオスのアップデートが必要になる場合があるので注意が必要です。
自作パソコンでは、インテル系とAMD系のCPU によって、
チップセットも変わります、今回使用するのはAMD系のCPUなので、
インテル系のチップセットについては、別の機会にしたいと思います。
AMD 系のCPU とチップセットの関係は
縦軸がチップセットで、上に行くほど新しいチップセットです。
横軸がCPUで、右に行くほど最新のCPU です。
第3世代、Ryzenが動くチップセットは、
最新の、X570、とそれ以前の、X470、と B450 の3つです。
ただし、X570 と B450 は、BIOS のアップデートが必要になります。
今回の自作で予定している CPU は Ryzen の第3世代、
最新の CPU を予定しているので、
選べるチップセットは3種類あるのですが、
初めての自作なので、アップデートに必要な CPU がありません。
なので、X570 を選ぶしかなく、
これがまた、他の2つに比べ、かなり高価なマザーボードしかなく、
頭を抱えることになりました。
CPU ソケット
CPU のピンに合わせたソケットを選ぶ必要があります。
自作パソコンで使用するコンシューマー向けのCPU は
サーバー向けや、ハイエンドのワークステーションのCPU とは違う
ピン配置になっていて、
一般的に使用されるのは次のものです。
インテルの最新のソケットは、
LGA3647 ソケット 対応CPU は Skylake-SP / Knights Landing
AMD の最新のソケットは
Socket AM4 ソケット 対応CPU は Zen (Ryzen 3 / 5 / 7)
インテルのソケットについては、調べてないのですが、
ピンの数が同じでも、使えない CPU があるなど、
変則的な要素もあるようですが、
それもまた、別の機会に調べることにします。
AMD の Socket AM4 は2016年9月に導入され、
ハイエンドの CPU から、ローエンドの APU まで、
統合された互換性を持ちます。
ちなみに、APU とは、CPU と GPU を統合した製品名です。
フォームファクター
フォームファクターとは、マザーボードの大きさの規格です。
一般的に、自作パソコンで使うフォームファクターは3種類。
ATX 305✕244mm 基準となるフォームファクターです。
30年前に自作したときも、この規格のマザーボードを使いました。
Micro ATX 244✕244mm 少しコンパクトな規格。
PCI スロットルが少ないので、拡張性に制限を受けます。
しかし、ATX より、値段が安いので、その価値が上がります。
ただ、一般的に、ATX とケースは共有されるので、
拡張性を犠牲にして、安く制作するためのものかも知れません。
Mini-ITX 170✕170mm 小型PC のための規格です。
上の2つに比べて、かなり小さいです。
ケースも Mini-ITX 専用のケースがあるので、
小さなパコンが欲しい人には、うってつけです。
ただ、拡張性はほとんど無く、
グラフィックボードを付けると、他には何も付けることが出来なくなります。
また、小さなケースに入れる場合、
パーツやケーブルが干渉して、組み立てを難しくしますし、
ケース内の温度の上昇も気になる所です。
今回の自作は、この規格で進めるので、
多少の不安がのこります。
不具合を事前に予測できれば、効率的なのですが、
自作パソコンは、組み立ててみなければ分からないので、
慎重にパーツを選んでいかなければなりません。
他にも、まざーぼーどのフォームファクターは沢山あります。
サーバーやワークステーションに使う、Extended ATX
超小型ベアボーンに使う、UCFF(NUC)
その他、CEB、BTX、DTX、ITX、やその派生規格があって
マザーボードの奥の深さを感じます。
拡張スロット
マザーボードの拡張性は重要な要素の一つです。
グラフィックボードを使うなら、PCI Express 3.0✕16 のレーンが
一つは必要ですし、
超小型の M.2 SSD を使いたいなら、M.2 スロットは必須です。
PCI Express 3.0(PCIe 3.0)は
高速の帯域幅を持つ規格で、使うレーンの数により用途が変わります。
PCI Express x16:主にグラフィックボードに使われる。
PCI Express x8:主にローエンドGPUに使われる。
PCI Express x4:主にM.2 SSDの互換ボードなどに使われる。
PCI Express x1:主にサウンドカードやインターフェイスカードに使われる。
30年前の自作では
サウンドカードや LAN カードも、拡張スロットに挿していたので、
必然的に、拡張スロットが沢山ある、ATX 規格を選びましたが、
最近は、サウンドカードも、LAN も、マザーボードに
直付されているので、
グラフィックボードを挿すスロットルがあれば十分です。
今回、Mini-ITX のマザーボードを使うことになったのも
時代の流れかも知れません。
VRM フェーズ
VRM は電圧レギュレーションモジュールのことで、
CPU への安定した電源供給のための装置です。
30年前のマザーボドには無かった、CPU 周りの大きなヒートシンクで
マザーボードが持ちやすくなったので、良かったのですが、
こんな大きなヒートシンクを使わなければならないほど、
発熱がやばい、と言うことです。
近年の、CPU の消費電力の大きさには驚かされます。
最近の CPU は一定の周波数で動くのではなく、
必要におおじて周波数を変えます。
オーバークロックが簡単にできるようになったのも、
CPU に対する、電力供給が不安定になる要素です。
そこで、安定した電力を供給するのが VRM の役割です。
VRM フェーズ数によって、
マザーボードの用途が変わってきます。
特に、10個以上の VRM フェーズが搭載されているような
ハイエンドのマザーボードは、より大きなヒートシンクが付いています。
これは、ほとんどオーバークロックをする人のための物と言っても
過言ではありません。
今回購入したマザボードの
ASRock X570 Phantom Gaming-ITX/TB3 には
10個の VRM フェーズが付いていますし、
IO パネルと同じ大きさのヒートシンクブロックが
非常に目立って、格好良いかも知れません。
次は、このマザーボードについて説明します。
ASRock X570 Phantom Gaming-ITX/TB3
ASRock X570 Phantom Gaming-ITX/TB3
X570 チップセットを搭載したマザーボードで
Mini-ITX らしく、非常にコンパクトな作りになっています。
その小さな個体に似合わず、巨大なヒートシンクが目に付きます。
AMD X570 チップセットの最大の特徴は、PCle 4.0 に対応していることです。
これは従来の(PCle 3.0)に比べ、帯域幅が2倍になっています。
つまり、1レーンあたりの帯域幅が増えたため、
従来の製品と同じレーン数なら、同時に扱える
ストレージやグラフィックボードを増やすことが出来ます。
しかも、レーンの割当に柔軟性があり、
サウスブリッジにつないだ、PCI Express x16に
グラフィックボードを挿せば、同時に3台のグラボを使う、
「3−Way SLI 」も可能になります。
こんな事をする人がいれば、どれだけ電気代がかかるのか、
聞いてみたい気がします。
もうひとつのメリットは PCIe 4.0 対応の新しいハードウェアが使えること。
たとえば、PCIe 4.0 対応の NVMe SSD は、最大5000 MB/sの
スループットを実現する高性能 SSD です。
RAID 0を使わなくても爆速環境を構築できるのは驚きです。
ハードウェア構成は
上の図をみる限り、
非常に解りやすいレーン構成になっています。
高性能な自動オーバークロック機能に対応します。
第2世代Ryzenから導入された「XFR 2」や「PBO」を、
X470と同じくX570も引き続きサポートしています。
「XFR 2(Extended Frequency Range 2)」は、
CPUに掛かっている負荷に応じ、CPUのコア温度に余裕がある場合に
自動的にクロック周波数を引き上げる機能のことです。
CPUを冷やすだけで自動的にオーバークロックしてくれるため、
手動でオーバークロックをする必要がなく、
非常に便利な機能です。
「PBO(Precision Boost Overdrive)」は、
XFR 2より更に激しくクロック周波数を引き上げる
自動オーバークロック機能で、
BIOSで有効化しないと使えない機能です。
第2世代Ryzen までは、XFR 2だけで十分にクロック周波数を
引き上げられたため、PBOの効果はそれほど高くなかったけれど、
第3世代Ryzen はクロック耐性が改善されたので、
いくらか有用性は高くなっているかもしれない。
意味不明な、高機能が付属しているようなので、
今はまだ、使い方も分かりませんが、
試してみる価値はありそうです。
このマザーボードの付属品は
SATA ケーブル2本と、WiFi & Bluetooth アンテナ、
M.2 SSD 固定ネジと、マニュアルです。
VRM 電源フェーズを10フェーズ実装してるので、
Ryzen 9 を定格運用できるようです。
ただ、EPS 電源端子が 8PIN 一個なので
無理はできないかも知れません。
IO 端子は
USB 3.1 Gen2 規格の Type-A 端子が2基。
USB 3.0 端子も2基
インテルのLAN コントローラーの有線 LAN 端子が1基
WiFi 6 に対応した無線 LAN も搭載しています。
また、Bluetooth 5.0 にも対応しています。
Thunderbolt 3 端子も一つ付いています。
オンボードサウンドに「Creative Sound Blaster Cinema 5」
が採用され、7.1チャンネル HDオーディオに対応しています。
また、光デジタル端子も付いていて、オーディオアンプに
繋いで、高音質の音を楽しめそうです。
このマザーボード、最大の不思議は
CPU クーラーマウントが AMD の規格ではなく、
インテルの規格になってリルことです。
つまり、CPU 付属のクラーが使えないのです。
互換リストに乗っている、CPU クラーを別途用意する必要があります。
また、メモリスロット側のCPUクーラー固定ホールのかなり近くに
素子が実装されているので、こことの干渉には十分に注意が必要です。
感想
ベンチ台を間違えて、Mini-ITX 専用のものを注文してしまった事から始まる、
予定外の出費と、見た目は格好良いけれど、
組み立ての難易度の高そうなマザーボード。
高性能コンパクトは男のロマンですが、
これを組み上げるには、それなりの工夫が必要かもしれません。
Ryzen 9 を積んで、高性能パソコンを目指すなら
大きめの、Mini-ITX 用ケースと、
簡易水冷CPUクラーが必要かもしれません。
何はさておき、後戻りはできないので、
前向きに考えていきたいと思います。
勉強することは多くありそうですが、
慎重に、時間をかけてでも、
作業の内容を吟味して準備しなければなりません。
不安もありますが、楽しんで作業を進めたいと思います。
コメント